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メンタルヘルスケアマネジメントの4本柱

平成12(2000)年に、厚生労働省が勤労者のメンタルヘルス対策を推進する「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」を策定しました。

この指針では職場のメンタルヘルスケアで、重要な柱は4つあると指摘しています。

(1) セルフケア 「自分で何とかすること」
健康に暮らすためには、バランスの取れた食事、適度な運動が必要なように、メンタルヘルスにも自分で最低限しておくことがあります。それがセルフケアです。

(2)ラインによるケア 「職場の身近な人が何とかすること」
セルフケアでも対処できなかった場合、もしくは職場の特性としてどうしてもストレスがかかりやすい職場があります。そのときには自分ひとりで抱え込まず(抱え込ませず)に、職場の身近な人からサポートしてもらう(してあげる)ことが必要です。

特に対人関係のストレッサーが多い職場・職種、残業や休日出勤など、不規則な勤務形態が多い職場・職種では、ある程度仕事の裁量権があるリーダー、マネジャーがスタッフの様子を見ながら、配慮していくことが必要です。

メンタルヘルスは一見なんともない人が深い問題を抱えている場合があります。そんなときにはより身近な人が兆候を発見しやすいものです。発見が遅れて、問題が深刻になってからでは手遅れになるケースも多いです。職場の近くの人々のことを注意深く、心遣いをしていくことが大切です。

(3)事業場内スタッフによるケア 「職場全体で何とかすること」
職場に産業医、保健師、看護師、心理相談員、健康管理担当者がいる場合、これらの専門家が連携してメンタルヘルスケアの対応していきます。

具体的には、
・ストレスの気づきをサポート
・リラクセーションの指導
・カウンセリングや心理相談など
です。

しかし、このような専門的なスタッフや担当者がいたとしても、実際にストレスを抱えている人はなかなか相談しにくいものです。できれば、専門・担当のスタッフは職場を自由に歩き回り、気軽に話せる雰囲気を作る努力をする、さらに社内メディア(新聞や掲示板など)でメンタルヘルス情報を提供したり、社内ネット環境を通じて気軽にコミュニケーションできるように環境を整えていくことが必要です。

(4)事業場外資源によるケア 「専門家に頼むこと」
職場に専門のスタッフがいない場合、また職場のスタッフに相談しにくい場合には、思い切って外部の専門機関にアプローチしてみることが必要です。病院や診療所、心理カウンセリングの会社を利用することで、スタッフのメンタルヘルスはかなり改善します。特に、最近では会社がEAP(Employee Assistance Program)などの専門機関と契約して社員が低料金で電話相談やカウンセリングを受けられるようにしているところもあります。EAPはスタッフが健康や家族問題、経済的問題、アルコールや薬物問題、法的問題など、仕事に大きな支障をもたらす問題を抱えている場合、その解決を援助するためのプログラムで、1940年代に米国で普及しました。米国では9割以上の企業で採用されています。