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メンタルヘルスの一次予防

ストレス状態におちいることは、どんなに精神力がある人でも起きることです。それがより深刻な状態へと移行してしまうことを避けるため、メンタルヘルスでは予防策を講じることが大切になります。

障害におちいることを予防するのは、大きく4つに分けて考えることができます。

第一は「本人」の問題であり、第二に「身近な職場の同僚」の問題であり、そして、三番目に「会社やお店全体」の問題であり、最終的に「外部の専門機関」の問題です。

このような対処する主体の区分よりも重要なのは、放置しておけば悪化するかもしれないストレス状態をどの段階で対処して、改善させていくのかという「プロセス」なのです。

ストレス状態のどの段階で対処するかという場合、3つの段階に分けて考えます。
 (1)メンタルヘルスの阻害要因の除去、軽減、病気の予防:一次予防
 (2)病気になりかけの方の早期発見、早期カウンセリング:二次予防
 (3)病気にかかった方の復職、復職後サポート:三次予防

すでに障害を起こして治療を受け、復職するという段階での対処を三次予防といいます。ストレス状態にあり、障害を起こしかけ、早期の段階での対処を行うことを二次予防といいます。ストレス状態を引き起こすだろう原因(ストレッサー)を除去することを一次予防といいます。

最初に、一次予防について考えて見ましょう。一次予防は大きく分けて、「問題解決」「環境の変化」「気にしない」という3つに集約することができます。

第一の「問題の解決」とは、ストレッサー(問題)自体を解決するということです。ストレスの源を断ち、ストレス状態を軽減・除去することを目的とします。これは必ずしもストレッサーを除去するということのみではなく、ストレスの源にならないようにすることも含めます。

ストレッサーが複数あり、複雑に絡み合っている場合では、それらのストレッサーを解明し、一つ一つのストレッサーを軽減したり、影響が大きいストレッサーに絞って軽減していくなど、最終的にストレス量の総和を削減していくことを目指しましょう。

問題解決が自分のみでは不可能な場合、周囲のサポートを受け入れていくことが重要です。


第二の「環境の変化」では、ストレッサーが及ばない環境もしくはストレス量を適度に調節できる環境へいくことです。一時的であれストレス状態から避難します。

お店や会社でストレッサーになっているものを特定し、その役割や任務から逃れられるように配慮しましょう。また、ストレッサーとなっている役割や任務からの全般的な避難ができないのであれば、より小さい仕事量に分割・削減して、少しずつ対処できるように慣れていくことも必要でしょう。

第三は「考え込まないようにする」ということです。「気にしない」ということで、気晴らしに飲みに行ったり、スポーツしたりするということも、この対処に該当します。どんなに巨大なストレッサーに直面しても、なんともない人間は単に豪胆なだけでしょうか?確かに、豪胆者はストレス状態に強い耐性を持っているでしょうが、多くの人はそんな強靭な精神を持っているわけではありません。

ストレスを適度に発散できる気晴らしがうまいのです。深く考え込まない性格も重要なのかもしれません。考え込むということ自体がストレッサーになることを防ぐためにも、何も考えないで、熱中できるものや楽しいことを見つけていきましょう。

しかし、気晴らしではストレッサー自体は軽減・削除されることはありませんから、やはり「問題解決」や「環境の変化」をしていかなければならないでしょう。気晴らしは一時的な対処といえるでしょう。