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メンタルヘルスの二次予防

ストレス状態におかれ、障害を起こす早い段階で対処することは、メンタルヘルス戦略の重要な鍵となります。

不幸にもストレスから何かの障害を起こしてしまった場合、本人や周囲の人々は早期に障害を治療し、ストレス状態からの脱却を図らないといけません。

「認知の仕方を変える」
・心身のメカニズムの理解
ストレスをコントロールすることは難しいのではないか?という消極的な考え方を改め、
・ストレス状態でゆがんだ見方をチェック
ストレス状態にあって、物事を見る目がゆがんでいることが考えられます。このようなゆがみを自己認識することで、理性的になり、ストレッサーに対抗することができます。
 -ちょっとした困難を巨大に感じる、悲観的な見方におちいり勝ち
 -極端な考えにおちいり勝ち
 -一つの出来事をすべてのことに関連付けてしまい、一事が万事だと考えてしまう
 -不安や恐怖に対する過剰な思い込み
 -自分と関係ないこと、自分に責任がないことを自分と無理やり関連付けてしまう
 -場当たり的、思いつきの考え、独断などが一人歩きし勝ち
以上のような視点のゆがみをチェックし、理性的な判断ができるようにします。


・楽観的になる
ストレス状態にあることで、何事にも悲観してしまうことが多いでしょう。何をやってもうまく行かないような気がして、ちょっとした困難もとてつもなく難しいような気がするものです。しかし、どんなに悲劇的な環境にある人でも困難を乗り越えることができないような問題はありません。冷静に、理性的に環境を分析して、立ち向かえばなんでもできるのです。現在持っている資源、解決への道筋、問題となっていることはなにか、自分に利があるものはないか、などを把握しましょう。

このように理性的にあるんことが難しいにしても、「何とかなるよ!」というように極端に楽観的な考え方になることも大切です。これはきわめて困難な問題に立ち向かうためには必要な決心なのです。ただ単に投げやりになるのではなく、現実を受け入れ、現実を解決可能な状況にあることを認識するということです。肯定的に物事を理解できるのならば、おのずと問題解決はできるでしょう。

・夢のある将来を描く
たとえ、現在の状況は厳しいものでも、将来はきっと乗り越えて、夢のある未来があるのだと考えれば、どんな困難も怖くはないでしょう。自分一人で夢のある未来を描けないのであれば、周りの人々がサポートしてあげることも必要です。


「対処能力・スキルの獲得」
他人から見れば、とてつもなく大きなストレスにさらされている人がまったくストレスに感じていない場面を見ることがあります。これはストレスへの耐性があるのです。日本人の自殺率の高さはストレス社会が原因というよりは日本人のストレス耐性がないからだという意見もあります。ですから、ストレスに対抗するための能力やスキルを身に着けていくトレーニングを日常から始めましょう。

ストレスに強そうな人から学んだり、トレーナーにつく、予防訓練やストレスマネジメント教育、ライフスキル教育などを受けるなどして、準備しておきましょう。


「セルフマネジメントの回復」
ストレス状態にあったことで、自分をコントロールする力がなくなってしまっている場合、行動や感情が混乱します。そこで、何よりも自分で自身をコントロールする力を回復させることが必要です。規則正しい日常生活を取り戻し、自分の行動や感情をコントロールするトレーニングをしましょう。


「自己信頼・他者信頼の回復」
人は社会の中で支えられながら生きています。互いに支えあう中で、互いを信頼し、その安心感の中で精神の平安があるのです。しかし、長くストレス状態におかれ、障害を引き起こしつつある人はこのような信頼感が満たされていない状態にあります。

他者を信頼することも、自分自身を信頼することもできず、暗黒の世界の中にいるような、言い表せない不安感を抱えているのです。周囲の人々からサポートや激励が常にあるならば、このような不安感は少なくてすむでしょう。また、自分自身で自らを激励していく「アファーメション」も役に立つでしょう。

「ソーシャル・サポートを受ける」
もはや、本人の努力では対処ができない場合、できる限り早く周囲の人々からの支援を積極的に受け入れましょう。仲間をつくること、人とのふれあいによって、人は安心感を得ます。孤立無縁な状態においてはいけません。本人の努力でこのような状態から抜け出すことも必要ですが、周囲の人の努力も必要でしょう。